Profile

物部芳郎

乃木坂YMクリニック
院長

自治医科大学卒業。卒業後埼玉医科大学総合医療センターで救急・外科コースで2年研修。研修終了後、埼玉県秩父郡にある町立小鹿野中央病院や飯能市名栗診療所などで総合診療医として9年間僻地で勤務。その間研究日や町立病院の整形外科外来で整形外科業務や研究、1年間は埼玉医科大学総合医療センターにて後期研修を行う。僻地医療終了後横浜労災病院にて1年間勤務医を務める。その後めぐみクリニック副院長を経て2022年に乃木坂YMクリニック開院、院長となる。

現在の仕事についた経緯

もともとスポーツをよくする人間であったため、整形外科的な医学には興味がありました。大学に入り、腰痛や肩こりなどよくある症状に対して具体的で細分化された診断基準や治療法などがないこと、「骨折などはっきりとした原因が無い腰痛や首の痛みは経過観察で自然軽快する」という通説があることを知りました。また、整形外科医となり肩こりや腰痛など画像に写らない原因による症状に対して、治療方法が煩雑な状態であることを経験し、画像に写らないような症状だからこそ患者さんとじっくり向き合い、診察も丁寧に行い治療と研究ができるクリニックが必要と考え、乃木坂YMクリニックを開業しました。

仕事へのこだわり

私の仕事へのこだわりは、まず諦めず考え抜くということ、また医学は専門科に分かれているが発生する症状は人間に関わる全てから起こりうる可能性があり、常に内科・整形など多角的な視点からアプローチし原因から結果へ、結果から原因双方向の関係性について考え新たな知見を発見することを心がけること、そして何よりも患者さん少しでも良くなるように、最善のアプローチ、助言、もしくは専門機関への紹介を躊躇しないことをモットーとしています。

これらこだわりの基盤になっていることは、一つには普段から多視点から考えてしまう性格があるということ。このことにより人より早く勉強で点を取るのは苦手でした(他の可能性を考えてしまうため)。

また研修医のころも専門分野を決める際とても悩みました。理由はどの分野もとても魅力的であり社会的意義を感じていたからです。内科も外科、小児科や耳鼻科・皮膚科も苦手意識は特になく、一生懸命学ぶ姿勢をしていれば、先輩方も一生懸命答えてくださる良い研修先だったからというのもあります。その結果、一つの病気に関して他分野の視点からも考える癖を身につけることができました。一つの病気が実は色々な分野と関係していることに気づいたときの学問的面白さを感じています。

そして、僻地医療を通して患者さんが本当に望んでいることを見誤ってはいけないということも学びました。これはさまざまな場面で出てきます。医学的に正しいとされていることと患者さんの希望は違ったりすることがあります。そこを絶妙に調節することが専門家の役割と考えるようにしています。

そう思えるようになった
きっかけ

僻地医療での経験が大きく関係しております。僻地では、その分野の専門の先生はいらっしゃいませんし大学病院のような専門機関もありません。わからない患者さんが来れば、応急処置をしつつその場で最適な方針を決め必至に論文や教科書を読み漁ったり、各機関に連絡をつけて対処するという、「わからくてもなんとかする」という能力を鍛えられました。たくさんの合併症を持っている高齢者の方々を治療しないといけないためガイドラインや教科書通りのパターンはあまりなく、わずかな種類の薬しか使えない状況が多いです。そのような患者さん達は治療に疲れ果てていて治らなくても良いから地元の病院で入院させてほしいということがあります。
そうは言ってもできうる限りの治療はしないといけないため、ガイドラインや一般的な治療方法では考えられない針の穴を通すような薬の使い方をして重症患者さんの治療をした経験が何度もあります。検査所見や教科書を盲信せず患者さんの症状や状態をみてより合理的に合致する因果関係を考え抜き治療することでより良い結果が得られることを経験し、今につながっております。

今後の目標

まず1つ目は、体のバランス健診を広げていきたいと考えております。 骨格のバランスを研究していくと、今まで整形外科で取り扱っている疾患と多いに関係することがわかってきました。肩こり腰痛に限らず、重労働もしていないのに起こるような各関節の痛み、腱鞘炎などはこれと関連していることが多いです。あらかじめ骨格のバランスをチェックし修正しておくことにより、労働者の生産性の向上や各疾患・怪我の予防になると考えております。
2つ目は体のバランスと整形外科分野だけでなく、他分野との関連性を解明していくことです。婦人科分野、消化器分野などで関連する興味深い症例があります。
3つ目は、この治療を多くの方に認知していただき、日本に限らず世界も含めて困っている患者さんの助けになりたいと考えております。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。

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