Profile

佐野俊二

昭和大学小児循環器・成人先天性心疾患センター
特任教授

1952年、広島県出身。1977年、岡山大学医学部を卒業し、1982年、同大学大学院を卒業。1985年からニュージーランド、オーストラリアで臨床研修に携わる。1988年、日本人で初めてメルボルン大学附属 RCH 小児心臓外科の准教授に就任。帰国後、1993年から24年に渡って岡山大学心臓血管外科教授を務める。2016からカリフォルニア州立大学サンフランシスコ校(UCSF)小児胸部心臓外科教授として、臨床、研究、指導に携わる。2022年、昭和大学病院小児循環器・成人先天性心疾患センターの特任教授に赴任し、あらゆる年齢層の先天性心疾患に対する外科治療を行っている。

プロとしての自覚を持ち
修練を積む

小学4年の時、運動会の鉄棒から落ちて肘を骨折し、搬送先の病院で緊急手術を受けました。しかし医者から、「うまくいかなかった。もう一度やり直して」と言われ、岡山大学の骨折専門の医者に再手術してもらったところ、無事に成功しました。その時、同じ医者といっても人によって全然腕のレベルが違うんだと知り、私も腕の良い医者になりたいと思いました。

しかし本来、医者はプロなので、何歳でもどんな立場でも、プロとして日頃から修練を積み、心構えをして挑まなければならないと思っています。

野球でもサッカーでもスポーツ選手は、成績を見れば一目瞭然。差があって当たり前のように、医者も差があって当たり前なんです。だからこそ、中途半端なことはできないし、成績を発表されるようなことがあっても恥ずかしくないよう、日々努力しておかなければならないんです。人の命を預かっている以上、自分自身の心も体も準備を整えておくことが重要です。

命を救うべく
今もなお奔走

日本ではまだあまり知られていないのですが、「再生医療」が可能になると、心不全で亡くなる子どもたちが助かるようになると考えています。将来的には大人への応用も視野に入れ、心不全で移植している人もほとんど必要なくなるかもしれません。そうなれば、手術よりももっと多くの人を救えるのではと期待しています。

一方、世界では今もなお1500万人以上の子どもたちが、手術を受けることすらできずに亡くなっているという現実があります。私だけでなく、日本の先生方にも発展途上国の手助けができる場に参加して、医療レベル全体を引き上げることに貢献していただきたいと思っています。

今は、若い人が外国に行きたがらない、内向きだと感じています。しかし、大きい人間になろうと思ったら、世界に出て、多くの人と接して、さまざまな文化を吸収して、初めて世界に通用する人間になれると思います。内向きにならず、ぜひ世界に羽ばたく人間になってほしいと願っています。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。

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