Profile

神谷春雄

クリニックテルミナ
院長

名古屋大学医学部卒業。卒業後、名古屋第一赤十字病院(現 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院)で研修、循環器内科で勤務し部長を務める。2022年4月よりクリニックテルミナで勤務。2023年7月より院長を務める。

現在の仕事についた経緯

名古屋第一赤十字病院(現 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院)で研修し、循環器内科専門医となりました。
冠動脈インターベンションPCIの黎明期からかかわりを持ち、虚血性心疾患を専門としておりましたが、慢性期にPCIやCABGを再度必要とする方が多く、いかに二次予防を行っていくか、動脈硬化/血管病の予防を図る重要性に関心を持ってきました。
また心臓だけではなく、末梢血管疾患、脳梗塞などの合併症が多いため、Total Vascular Careの必要性について考えていました。
高齢化社会のなかでHFPEF(収縮機能の保たれた心不全)を含めた心不全や心房細動などの不整脈疾患、フレイルをきたす方が多くなり、患者の全身状態の管理が重要であることに気付かされました。
そうした中で病院を退職し地域医療に携わるべくクリニックを探していたところで、渡辺正樹先生、渡辺遇先生と出会い、2023年よりクリニックテルミナでの外来診療部門の責任者となりました。

仕事へのこだわり

冠動脈の血行再建をPTCRやPTCAと称していた1980年代前半からカテーテル手技に携わっていました。
初期にはカテーテルに関する教科書や研究会も少なく、少ないスタッフで手技をおこなっていました。そのため、合併症を如何に減らすか、合併症を起こしても致命傷に進展しないようにどう防ぐか、場合によっては途中でも引き返す判断をするなど、多くのことを学んできました。
また心臓外科や血管外科の先生のサポートのもと、いろいろと助けてもらった思い出があります。すなわちどんなに注意しても一定の頻度で合併症は起きうること、十分な準備をしていても合併症を起こしてしまえば後遺症が残る可能性があること、患者さんに不利益をもたらす可能性があることを常に頭に置いておく必要性があります。
そうしたことから、どんな検査や手術であっても、本当に適応があるのか、また合併症が起きた時にリカバリーできる病態であるのか、そのリスクを上回るだけの利益が得られるかどうかを常に考えるようにしています。
検査や手術だけではなく、新規の薬剤を導入するときにも適応の有無と有用性、副作用のバランスを常に考えるよう習慣づけており、その説明を患者さんにして了解を取るようにしています。
また自分の関心領域である心臓以外にも十分な注意を払う必要があります。
人は血管とともに老いるわけなので、PCIを行った患者さんが脳梗塞を起こしたり、間欠性跛行を起こしたりすることがあります。少なくとも動脈硬化/血管病を診療している診療科として脳、腎、四肢を含めた血管領域にも十分に注意を払うようにしています。

そう思えるように
なったきっかけ

PCIを専門にしてきましたが、5~10年経過するとまた虚血イベントの再発を繰り返し、何度もPCIをおこなったり、CABGに移行したりする方を認めていました。
また虚血症状がなくても冠動脈CTや負荷シンチをすると、三枝病変や左主幹部病変に進行していた方がいます。結局動脈硬化を惹起する危険因子をコントロールできない限り、血行再建だけでは疾病コントロールができないということを理解させられます。
またいつのまにか心臓疾患以外の脳血管障害や下肢血行障害に罹患していた方も見受けられます。結局一部の血管と臓器に捉われていては不十分であり、全身の血管を評価して同時に治療していく必要があると考えられます。
Total Vascular Careのためには厳密なリスク管理が必要であり、血圧、脂質、糖尿病、禁煙、体重管理、運動療法などすべての領域でコントロールすることの重要性を多くの経験から学びました。

今後の目標

医療者がどれだけ説明しても、最終的に先生にお任せしますと言われていては不十分です。患者さんが主体となって治療を受け入れてもらい、医療者とともに疾病のコントロールを図る必要があります。患者さんの病態を理解できるように説明し、治療方針の同意を得ることが重要です。
またどれだけ入院するような血管イベントを防いでいても、加齢とともに運動能力が低下してフレイル状態になってしまっては意味がありません。高齢になっても自力で社会生活を過ごせることが重要です。そのためには健康寿命を延ばすという目標を患者さんと共有することが大事と考えます。
院内ではリラックスできる暖かい環境を作り、患者さんに満足していただけるクリニックを目指しています。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。

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