福島医大を卒業後、本当は膠原病内科に行きたかったのですが、内科医が胸部異常陰影を経過観察して手遅れになる事案を経験し、放射線科に行くことにしました。
放射線科は幅広い疾患を経験でき、内視鏡や画像ガイドの生検などにより迅速に病理診断が出来るのでそこに魅力を感じ放射線科に入局。
年間1,000件の気管支鏡検査を実施しながら自分の腕を磨き、教授から放射線治療をやれと言われ、IVRがやりたかったので日本医大に移籍。
日本医大では毎日のように血管造影やnon-vascular IVRを担当し、当時ピッツバーグ大学から戻ってこられた藤岡睦久教授に師事すべく獨協医大に移籍。そこでは天才の西村玄先生と仕事をすることができ、放射線科医の面白さを実感しました。
そして、一生を通じて放射線科医を続けるつもりで開業することを決意したのが、1997年37歳の時でした。
佐藤俊彦
医療法人DIC 宇都宮セントラルクリニック
理事
福島県立医科大学卒業。日本医科大学付属第一病院、獨協医科大学病院、鷲谷病院での勤務を経て、1997年に「宇都宮セントラルクリニック」を開院。最新の医療機器やAIをいち早く取り入れ、「画像診断」によるがんの超早期発見に注力、2003年には、栃木県内初のPET装置を導入し、県内初の会員制のメディカル倶楽部を創設。新たに2023年春には東京世田谷でも同様の画像診断センター「セントラルクリニック世田谷」を開院。
著書に『ステージ4でもあきらめない最新がん治療』(幻冬舎)、『一生病気にならない 免疫力のスイ ッチ』(PHP研究所)など多数。
現在の仕事についた経緯
仕事へのこだわり
日本でgeneral radiologyを修練するには一つの医局でなく、複数の医局での研修が重要です。しかし、医局は無料の労働力である研修医や大学院生を囲って、他での勉強を許可することは希でした。したがって、自ら複数の大学病院や研修病院をローテーションする計画が必須だったのです。
30歳の時、MRIのプログラム開発中に偶然にも発見されたがんが我が身に降りかかり、残される遺族のために本気で稼がないといけないと痛感しました。米国の友人は、少なくとも1億円を稼いでいるそうです。大学でのティーチング費用・メーカーとの共同研究費・診療費・画像診断センターでのステークホルダーとしての報酬・遠隔読影費用などをサラリーの主軸にしていたので、CDI(center for diagnostic imaging)という独立型の画像診断センターを参考に、「ドクターネット」を設立しました。
2010年上場審査を通過したところで、FOYの100億円粉飾が明るみに出て、東証マザースへの上場に意欲がなくなり、M&Aでノーリツ鋼機に売却、彼らはビックデータを活用したオリンパスの子会社を買収して、JMDCで2019年12月に上場しました。さすが、株式マーケットのプロはこういう上場をするのだと勉強させられました。人間が読影するので数が増えれば誤診の嵐。毎日がその対応だったので、開放されてほっとした一面もあります。
その後は、宇都宮セントラルクリニックに戻り、株式会社CMCで顧問医サービスやPET/PEMの女性専用画像診断センターを設置し、より医療に近い部分を実践しています。将来を予測し、実行プランを立て、書籍に書いて、講演会を開き一般の方々や医師に理解してもらう活動を続けています。今後は、人生100年時代で人が死なない社会においての医療のあり方を検討していきます。
そう思えるようになった
きっかけ
当時、ソフトバンクの孫正義社長もタイムマシン経営(米国で社会システムになったものやブームは、10年遅れてアジアでも、アフリカでも、ヨーロッパでも流行する)を実践して成功していたので、早速実行に移しました。実際に米国の施設を見学することで未来を予測できたわけです。
これからの時代は、先が見えることが重要で、向かう方向が正しければ、きっと何とかなると思います。画期的な新技術に積極投資することも大事です。製薬企業は石油から作る画期的新薬がないため、今回のワクチン騒動で史上最高の収益を上げる一方、バイオ医薬品・遺伝子治療・大麻の会社を次々に買収し、業態転換しています。この大きな流れを捕まえることが最も重要です。
また、早く種銭を作って、金利や不労所得で生計が成り立つような仕組み作りを実施することも大切です。積極的に新しい分野に挑戦していきましょう。これからのテーマは、メタバースであり、サイバネティックアバター生活が日常になると思います。
今後の目標
一方で、監視社会が実現されるわけで、こういった社会環境の激変に適応できない人は、死んでいくしかないのだと思います。しかも、脳はデータのアウトプットの役割を果たすので、たくさんの人間の脳のアウトプットを瞬時に解析して、新しい技術を作り上げることも可能となります。おそらく、全人類をつなぐクラウドコンピュータ網になるはずです。
この流れに適応できた人は、自らの肉体が寿命を終えても、サイボーグや仮想空間のアバターで生き続ける時代となるでしょう。
死なない時代・死ねない時代の医療はどうあるべきなのか?今後の目標として仕事を続けていきたいと思っています。キーワードは「脳の健康」です。
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。