もともとスポーツをよくする人間であったため、整形外科的な医学には興味がありました。医師になり、腰痛や肩こりなどよくある症状に対して具体的で細分化された診断基準や治療法などがないこと、骨折などはっきりとした原因が無い腰痛や首の痛みは経過観察されるか、内服、湿布、理学療法のみで治療される傾向にあること、医師が何が原因でどのようにしたら良いか適切にアドバイスできていないことを経験いたしました。
そのため画像に写らないような症状だからこそ患者さんとじっくり向き合い、あらゆる症例を丁寧に診察・分析し、適切な治療と研究ができるクリニックが必要と考え、乃木坂YMクリニックを開業しました。

私の仕事へのこだわりは、まず諦めず考え抜くということ、また医学は専門科に分かれているが発生する症状は人間に関わる全てから起こりうる可能性があり、常に内科・整形など多角的な視点からアプローチし原因から結果へ、結果から原因双方向の関係性について考え新たな知見を発見することを心がけること、そして何よりも患者さんが少しでも良くなるように最善の診断、治療、もしくは専門機関への紹介を躊躇しないことをモットーとしています。
これらこだわりの基盤になっていることは、一つには普段から多視点から考えてしまう性格があるということです。
また研修医のころも専門分野を決める際とても悩みました。理由はどの分野もとても魅力的であり社会的意義を感じていたからです。内科・外科、小児科や耳鼻科・皮膚科も苦手意識は特になく、一生懸命学ぶ姿勢をしていれば、先輩方も一生懸命答えてくださる良い研修先だったからというのもあります。その結果、一つの病気に関して他分野の視点からも考える癖を身につけることができました。一つの病気が実は色々な分野と関係していることに気づいたときの学問的面白さを感じています。
そして、僻地医療を通して患者さんが本当に望んでいることを見誤ってはいけないということも学びました。これはさまざまな場面で出てきます。医学的に正しいとされていることと患者さんの希望は違ったりすることがあります。そこを絶妙に調節することが専門家の役割と考えるようにしています。