Profile

松尾俊宏

芦屋まつおクリニック
院長

兵庫医科大学卒業。市立芦屋病院で研修後、兵庫医科大学病院糖尿病内科に入局。その後、兵庫医科大学大学院に入り医学博士を取得。兵庫医科大学内科学糖尿病・内分泌・代謝科のスタッフとして勤務。
市立芦屋病院糖尿病内分泌内科での勤務を経て、令和6年2月1日に芦屋まつおクリニックの院長となり現在に至る。

現在の仕事についた経緯

糖尿病は慢性疾患であり一生涯付き合っていく必要のある病気です。糖尿病は生活習慣に大きく影響される病気であり、診療において患者さんの生活状況を聞くことは非常に重要です。そのため、患者さんひとりひとりの生活や人生の変化にも目を向けた治療が重要だと考えるようになりました。
大学病院や市民病院での勤務では、様々な業務に追われる中で、患者さんの人生観を共有することが難しいと感じていました。
より長期的に患者さんと関わり、病気だけでなく人生全体を見守っていくために、クリニックを開くことを決意しました。

仕事へのこだわり

多くの患者さんが糖尿病とともに高血圧や脂質異常症、心臓病、腎臓病、呼吸器疾患など複数の病気を抱えています。そのため、糖尿病の治療で来院された患者さんについても、問診・診察で他の病気が隠れていないかを確認するよう心がけています。糖尿病以外の疾患に対しても診療できる体制を整えており、必要な場合には速やかに近隣の病院へご紹介できる仕組みも構築しています。
また、治療においては慎重さを心がけ、リスクを避けることにも重きを置いています。医師の役割は患者さんの健康を改善することであり、治療に伴うデメリットが生じてはならないと考えています。治療の選択肢が増える中で、よりメリットが大きくデメリットが少ない方法を患者さんのために選択するよう努めています。
糖尿病内科が専門であり、病院と同等の診療レベルを提供できていると自負しています。糖尿病診療の要となるのが問診であり、患者さんの生活スタイルを把握することが非常に重要です。1週間の活動パターンや食事内容など、細かく伺うため、驚かれる方もいらっしゃいますが、その情報が適切な治療の選択につながるのです。

そう思えるようになったきっかけ

大学病院には、さまざまな病気を抱えた患者さんが多く来院され、そういった方々の糖尿病治療に関わることで、私自身の知識と技術が向上しました。また、良き指導者にも恵まれ、学びの多い日々を過ごすことができました。
そのなかで、ひとりひとりの患者さんに対してより適した治療を行うためにはどうしたらいいかを考えた結果、患者さんのことをより知ることだと考えるようになりました。本当に当たり前のことですが、それが十分なされていない場合も多く見受けられます。
糖尿病治療は血糖値を下げること、すなわち血糖値を正常化することで将来的な合併症を予防し健康な人生を全うすることを目標としています。血糖値の正常化を目指すことで低血糖を起こすこともあるので、それを避けるためにもまず生活パターンを把握しなければと考えるようになりました。
糖尿病治療薬には非常に多くの種類があり、それぞれ作用が異なります。また多剤併用することで低血糖のリスクも高まりますので、患者さんの生活状況を聞くことが治療を最大限に生かすためにも重要と考えるようになりました。

今後の目標

診療において、ACP(アドバンス・ケア・プランニング:人生会議)を積極的に取り入れたいと考えています。ACPはまだまだ十分には浸透していません。高齢の患者さんに対して、残りの人生をどう過ごしたいかなどをお聞きすることで、診療方針が変わることもあります。
ACPは患者さんご本人だけでなく、ご家族やキーパーソンを含めて相談することが大切です。この取り組みを通じて、患者さんとそのご家族が満足のいく人生を送れるようにサポートしたいと願っています。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。

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