Profile

木村佳人

きむら内科・内視鏡クリニック
院長

平成17年、京都大学医学部卒。初期研修医として京都大学医学部付属病院で2年間勤務の後、市立岸和田市民病院で消化器内科医としての基礎を学ぶ。平成22年からは神戸市立医療センター西市民病院に勤務の後、平成25年に京都大学大学院医学研究科に入学し、膵発癌に関する研究を行う。平成29年、日本膵臓学会大会においてPANCAN Awardを受賞、研究内容はGastroenterology誌に掲載された。平成29年から西日本最大クラスの病院である大阪赤十字病院で医長として勤務した後、令和4年5月、西宮できむら内科・内視鏡クリニックを開院、現在に至る。発表論文、学会での座長経験など多数。

現在の仕事についた経緯

今にして思うと変な小学生だったと思うのですが、小学生時代の憧れはアインシュタインで、卒業文集に書いた将来の夢は「宇宙物理学者」でした。ちょっと友達にしたくないくらいの変態小学生ですね。
高校まではそのまま物理学者になる気でいましたが、何も考えずに文理選択をした時に、人生の可能性の半分を捨てたことに気が付き、他の選択肢を検討しなかったことに愕然としました。
そこから真剣に自分が何をしたいのか、仕事のやりがいとは何かについて考えるようになり、結果として「誰かの命を救う仕事」である医者に惹かれるようになりました。

仕事へのこだわり

よく医者は科学的に正しい医療を行えばそれだけで良いと考えがちです。しかし、考えてみると正しくない医療を行う医者なんて医者とは言えないはずです。つまり正しい医療を行うことは医者として当たり前のことで、より良い医者になろうとするならもっと別のことが必要だということです。
私は医者にとって最も必要なのはコミュニケーション力、あるいは説明力だと思っています。わかりやすい言葉で病状を説明し、治療方針に納得をしてもらう。それによって病気への不安を解消し、安心して治療に取り組んでもらうというのが本来あるべき医療の形ではないでしょうか?現在もコミュニケーション力の足りない医者が多すぎることが医療における大きな問題だと感じています。
私は開業直前まで、主に癌治療を行っている医者でした。癌の中でも膵癌を診ることが多かったのですが、膵癌は非常に進行が早い癌です。歩いて入院してきた人が、最短2週間ほどで亡くなってしまうこともあります。そのような病気ですから、治療は時間との戦いでもあります。いかにスムーズに診断・治療につなげるかと同時に、短期間で本人・家族にどうやって病状を伝えるかが重要でした。必然的に、患者さんにどうやって病状を伝えれば良いかに拘ってきたと思いますし、結果として患者さんやご家族さんには信頼して頂けていたと感じています。
上手くコミュニケーションが取れていた時には、みなさん最後に必ず感謝の言葉を伝えてくれます。「先生ありがとう、先生が担当で良かった」という言葉をこれからも貰えるように、今後も説明力に磨きをかけていきたいと思います。

そう思えるようになった
きっかけ

学生時代に遊び過ぎた結果、研修医になりたてのころは医者としての力量が全く足りていませんでした。この頃は知識がないなら足で稼ぐしかないと思い、暇があったら患者さんの病室を回診していました。
ある時、とある患者さんの診察を終えてから部屋から出ようとすると、同室の患者さん(仮にAさんとします)に声を掛けられました。「私の担当医は全然病室に来ない、先生みたいにもっと来てくれる人だったら良かったのに」と。正直この頃の私は医者になって2か月くらいで仕事は全然できていませんでした。おそらくAさんの主治医の方が私より医者としての力量ははるかに上だったはずです。しかしその病室では、Aさんの主治医より新人の私の評判の方がはるかに高かったようなのです。
その時から、正しいことをするだけでは患者さんの不安は解消されないし満足も得られない。患者さんに安心して治療を受けてもらうには、医者の側からきちんとコミュニケーションを取ることが何より重要なのだと感じるようになりました。

今後の目標

私が開業に至った理由の一つに癌の早期発見に注力したいというものがあります。というのも、癌は早期に発見すればするほど、根治出来る可能性が上がる病気だからです。
そこで癌で亡くなる人を一人でも減らすために、地域の方が気軽に胃カメラ、大腸カメラ、腹部エコー検査に来られるようなクリニックを作りました。その甲斐あって開業1年目から胃癌や胆管癌、胆嚢癌、腎癌などを複数診断することができ、特に早期胃癌の方にはすでに根治が確認された方も複数人おられます。
今後も地域における癌の早期発見(特に内視鏡検査により発見が容易な胃癌や大腸癌などの早期発見)に尽力していきます。
あえて大きな目標を掲げるとすれば、この地域で胃癌・大腸癌で亡くなる人がゼロになるように、啓蒙活動や検診に取り組んでいきたいと考えています。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。

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