Profile

黒川裕生

クロス動物病院
院長

2013年、北里大学獣医学部獣医学科卒業。卒業後大阪市内の大阪動物医療センター勤務、主任獣医師歴任。
同施設、大阪動物夜間ERセンターにて夜間緊急手術主任歴任。
2019年、クロス動物病院開業、院長となり現在に至る。

現在の仕事についた経緯

小学3年生時に特別授業があり、当時の担任の先生がご自身の親友の獣医さんを招待され、お話を伺う機会がありました。
そこでその獣医さんが「ペットは人間にとってのパートナーであり家族」という内容のお話をしてくださったのですが、当時ペットの飼育経験のない私にはその考え方はセンセーショナルなものでした。
それまでも私は動物好きな自覚はありましたし、動物園やペットを飼っている友達の家に行くことも大好きでした。
一方で幼い私は、ペットを心の支えにし、その分ペットに愛情を注ぐという発想に思い至ることなど当然ありませんでした。
その言葉をきっかけに、私はペットを家族と呼ぶその生活や生き方に憧れるようになり、幼いながらに獣医師を志すに至りました。

仕事へのこだわり

私は多くの症例数をこなし、ありとあらゆる疾患の治療経験が積める環境を求め就職活動を行い、その甲斐もあり希望に叶う形の動物病院に就職でき、そこで研鑽を積みました。
夜間救急病院としても診療を行なっていた病院だったので、早いタイミングで独り立ちをさせて頂きました。
日々、珍しい病気や難しい疾患を診ていく機会が増えていく中で、どうしてもそれらの病気に手一杯になってしまう時期がありました。
そんな中で、ふとした時にワクチンや日常的な病気で来院される飼い主様も、大きな病気で来院される飼い主様と同様の不安を感じて来院されているという当たり前のことに気が付きました。
それからは病気の大小に関わらず、インフォームドコンセントにはそれまで以上に時間を割くよう心がけています。
特に私が興味を持ち研鑽に努めている外科においては、麻酔をかける機会も必然的に多くなります。
年間を通して膨大な数の麻酔をかけることが当たり前である私たち獣医師は感覚がついつい麻痺してしまいがちですが、飼い主様とそのペットにとって麻酔をかける機会というのは一生に一度あるかないかの非常に大きな決断です。
その中で、如何に飼い主様の不安を取り除くことができるのか、適切なリスクを伝えることができるのかに心を砕いて参りました。
また、麻酔に関して100%安全という説明ができない以上はリスクを許容できない飼い主様も一定数おられ、様々な事情の中で麻酔をかけて外科手術に進むことだけが正解ではない場面もあります。
その場合には外科以外にも様々な治療法を提示し、飼い主様が納得できた上で治療に進むことができるよう考え、満足いく治療を受けていただけるよう苦心しております。

そう思えるようになった
きっかけ

獣医師としての歩みを進める中で、他院様からの紹介症例を診察する機会も増えていきました。
その中で飼い主様が納得いかないまま紹介されてきた症例や、病気のことを名前も何も聞かされないまま私のもとに送られてこられた飼い主様にお会いすることが非常に多く、飼い主様は皆様一様に不安な様子で来院されていました。
私自身が地方出身ということもあり、特に地方から来院される方は殊更気に掛かりました。
本来、特殊な器具や検査装置は必要とせず、十分な知識さえあればわざわざ遠方にある都会の大病院に出向く必要もないような病気で来院される飼い主様を診ていると居た堪れない気持ちになり、同時に憤りを感じることもありました。
その中でせめて飼い主様の不安を取り除けるように、来て良かったと思ってもらえるように、診療を飼い主様にとって有意義な時間にしたいと考えインフォームドコンセントに時間を割くようになりました。
更に地方の医療レベルの向上に寄与したい、精神的ハードルのある都会の病院に赴く必要のない症例は地元で治療してあげたいと考えるようになり、地元和歌山で開業するに至りました。

今後の目標

地方という医療後進の地を盛り立てつつ、先進医療・高度医療への架け橋となることを目標としています。
近年、獣医療の進歩に伴い、時に人間医療と遜色のない検査・治療が必要となる機会が増えています。
私は、一般臨床から先進医療・高度医療に至るまで多角的に医療に携わってきた獣医師としての知識・技量・経験・ネットワークをフルに活用して診療にあたるとともに、必要な場合には飼い主様が不安なく都心部の二次診療施設を受診できる医療ネットワーク体制を整え、ペットと飼い主様が笑顔で幸せな日々を送れるよう尽力していきます。
地方で生きるペットが都市部と遜色ない医療を受けられる環境を提供する為に、育ったこの和歌山の地で精進し邁進して参ります。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。

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