Profile

飯島康弘

医療法人社団藤和東光会 藤保クリニック
院長・理事

東京都新宿区にて14床の有床診療所を運営。専門は内分泌・糖尿病で、外来(糖尿病・内分泌・一般内科)と慢性期病棟の運営を行う。
臨床では生活習慣病の診療に加え、合併症予防や自己管理支援に注力。院内では人事・経理・補助金申請・業務設計にも携わり、医療現場で「続く仕組み」を整えることを強みとする。
健康教育プラットフォーム(メディノト)では、医学的根拠をわかりやすく翻訳し、日常に実装できる形で情報提供を行っている。

現在の仕事についた経緯

私は教員・警察官・消防士・税理士の家族に囲まれ、「人と人の関わり」を尊ぶ空気の中で育ちました。
高校時代、虐待を受けた児童が周囲の支えで回復・成長する記録に出会い、人は共同体の力で心身が癒えるということに胸を撃たれました。
ならば私は、その輪の一員として「心にも身体にも寄り添う医師」でありたい。生活と切り離せない糖尿病医療こそ自分の場所だと確信し、内分泌の道へ飛び込みました。
一次情報を読み解き、現場で使える言葉と手順へ翻訳し、通院・入院・在宅をつなぐ“切れ目ない医療”を新宿で仲間と実装する。目の前の一人の1/1に徹底して向き合い、暮らしを取り戻す一歩をともに重ねる。——その覚悟が、私を今日も診療へと駆り立てています。

仕事へのこだわり

私の合言葉は「1/数千ではなく、患者さんにとっては常に1/1」です。
こちらにとっては日々の一例でも、当事者にとっては人生の重大事です。
だからこそ“慣れ”や“惰性”を警戒し、毎診療で自分に問い直します。

新人期から徹底してきたのは、①丁寧に聴く、②仮説を立てる、③必要十分な検査、④わかる言葉で説明し意思決定を共有、⑤生活に落とし込む、という一連の基本動作です。糖尿病は高血圧・脂質異常症・心腎疾患・感染症など多領域と絡み、かつ進歩が速い分野です。
独力で極みを目指しつつも、“一人では完結しない前提”に立ち、院内チームと地域医療連携を早期に稼働させる設計を重視してきました。

また、医師は科学者でもあります。新薬や臨床試験の一次情報を読み解き、必要な知識を現場の手順に翻訳して届ける。患者さんには生活の言葉で、医療従事者には運用可能なプロトコルで伝える。
このように、診療の現実とエビデンスの距離を縮める“伝達者”であること。それが私のSTYLEであり、明日の外来・病棟・在宅を確かな一歩に変える原動力です。

そう思えるようになった
きっかけ

一番の原点は研修医時代です。良き指導医と同期に恵まれ、研鑽を積むことが当たり前の現場でした。職人肌のプロフェッショナルが集まり、患者さん一人ひとりに真摯に向き合う空気がありました。そこで過ごすうちに、研修医から一人の医師へと意識が切り替わるのに、時間はかかりませんでした。

ある日、上級医の指導のもとで不明熱の患者さんを担当しました。頭を捻って悩み、資料を読み漁り、何度も相談を重ねる中で、一つの希少疾患にたどり着きました。診断がつき、なんとか救うことができたときの安堵と喜びは、今でもはっきり覚えています。

一方で、まったく違う形の学びもありました。若くして末期がんと診断された、2児の母の患者さんです。担当医として、毎日のように病床でお話をしました。しかし、私にできることは「話を聴く」ことくらいしかない。そう感じる場面が多く、強い無力感がありました。当時まだ小さかったお子さんの成長を見届けられない…。その方と過ごした時間で感じた無念さは、今も医師としての軸に残っています。

医師になってすぐの2年間で、私はさまざまな形で「人のために為せること」の本質を学ばせていただいたのだと思います。忘れられない出来事が、あまりにも多い時代でした。この時代の経験が、私に『根拠に当たり、現場で回る形に落とし、患者さんを支える』というこだわりを教えてくれました。

若者へのメッセージと
今後の目標

若輩が伝えるには少しおこがましい気もするテーマですが…開業医5年目である現在の私が、「若かりし自分への思い」としてお伝えせていただきます。

未来は“正解探し”より“更新の連続”でひらけます。医療でもビジネスでも、速く走る人より「学び続ける人」が最後に強いと言われています。
そこでいくつかのヒントを贈ります。

第一に、目の前の人を“統計の一例”ではなく“世界でただ一人”として扱う視点を持つことです。仕事の質はリスペクトの総量に比例します。
第二に、情報は必ず一次情報に当たり、出典を明示して自分の言葉で要約する習慣を。これはどの業界でも通用する最強の筋トレです。
第三に、失敗を「再設計の素材」と捉えること。うまくいかなかった理由を“行動・環境・資源”に分解し、次の一手を1つだけ具体化して即日試す。完璧主義より反復が成果を連れてきます。
第四に、師匠と仲間を早く見つけること。尊敬できる先輩の“思考の型”を盗み、同期と“やり切る文化”を育ててください。
第五に、健康は資本です。睡眠・運動・食事のベースラインを崩さない人ほど、長距離を走ることができます。SNSの評価軸に引きずられそうになったら、目の前の患者さんが喜ぶかどうかの一点に戻りましょう。
最後に、迷ったら現場へ。現実に触れ、仮説を立て、小さく試し、学びを言語化して次に渡す。その地道な更新の先に、あなたの固有の“STYLE”が立ち上がります。

医師は、論文を読み、ガイドラインを理解し、診療で判断することができます。でもその知識を、市民のみなさんが使える言葉に翻訳する場は少ないのです。 現実には、健康情報が「不安を煽る言葉」や「売りたい商品」に引っ張られてしまうことも多くあります。そこで傷ついて、疲れて、諦めてしまう人もいます。私は、そこにずっと違和感がありました。

病気そのものより、情報によって人が追い詰められる構造のほうが怖いと思っています。だから私は、診察室の中で培った知識と感覚を、診察室の外にも持ち出したい。そのための学ぶ場所をnoteなどのコンテンツで積極的に提供していきます。そして少しでも優しい医療が患者さん一人ひとりに届くための一助を努めていきます。
焦らず、しかし手は止めず。今日の一歩が、十年後の誇りになると信じて。私は次の十年に向け現在も邁進しています。ぜひ皆さんも素敵な医師人生を送り続けてください。

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※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。

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